- 労務・税務
小規模企業共済について
小規模企業共済とは
小規模企業共済とは、個人事業主等の退職金積立制度のようなもので、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
一番のポイントは、退職資金をつくりながら節税もできるという点です。
◇掛金
毎月の積立額が1,000円から70,000円まで 500 円単位で自由に設定ができ、加入後も増額・減額が可能です。確定申告の際には、一年間の積立額が全額個人の所得から控除(所得控除)できるため、高い節税効果があります。
※所得控除には全部で15種類のものがありますが、共済掛金は「小規模企業共済等掛金控除」に該当します。
◇受け取り
共済金は、退職・廃業時に受け取る事ができ、受け取り方は一括・分割の選択が可能です。一括を選択しますと、これは退職所得となります。もちろん税金がかかる可能性がありますが、退職所得は非課税枠が大きいため、税負担が軽減される可能性が高いといえます。
なお、分割受取を選択した場合は「雑所得」扱いになります。
◇貸付制度
売り上げ減少時や経営安定化のために、資金繰りの必要に迫られることがあります。小規模企業共済制度に加入していますと、払込済掛金の一定割合までの範囲で貸付を受けることができます。一般貸付(事業資金)、緊急経営安定貸付、創業転業時・新規事業展開等貸付、事業承継貸付等、様々な制度があります。
デメリット
優れものの小規模企業共済にもデメリットがあります。
①元本割れ
解約時に受け取る解約手当金ですが、積立開始から 20 年未満で任意解約した場合には、返戻金が元本を下回る、いわゆる元本割れとなってしまいます。
※掛金を12ヶ月以上滞納した場合も任意解約と同様の条件となります。
※資金的に積立が厳しくなった時、積立額を毎月 1,000 円に減額して 20 年続けるという方法もあります。
②掛け捨てリスク
加入期間12ヶ月未満で任意解約すると掛け捨てとなります。また、掛金納付月数が6ヶ月未満の場合は、共済事由に該当しても受け取れません。
③その他、加入資格等
会社の規模が大きく、社員数が多い場合は要件を満たさないため加入できません。また掛金は自身の収入から納付する必要があります。
まとめ
- Good 掛金は所得控除される
- Good 老後の蓄えとして活用できる
- Good 低金利で事業資金を借りられる
- Bad 12ヶ月未満の掛金は掛け捨てとなる
- Bad 加入期間20年未満の任意解約は元本割れ
小規模企業共済は、掛金が所得控除として扱われるので節税メリットがあります。また、老後の蓄えとしても活用できます。12カ月未満の場合の場合には、掛捨てとなってしまいますし加入期間20年未満の任意解約は元本割れとなってしまうなどのデメリットもあります。
加入を検討する際には、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。加入のメリットとデメリットを十分に理解した上で、加入を判断しましょう。
※本記事は、税理士 山口 真弘によって企画・執筆を行いました。記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。節税や税法については顧問税理士等にご確認ください。