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デスクトップ型会計ソフト「弥生会計」とクラウド型会計ソフト「freee」の比較考察~その1~

デスクトップ型会計ソフト「弥生会計」とクラウド型会計ソフト「freee」の比較考察~その1~

はじめに

弥生会計やPCA会計、勘定奉行など、従来のデスクトップ型アプリの会計ソフトで記帳経験がある人が、freeeやマネーフォワードなどのクラウド型会計ソフトを使おうとするとあまりの仕様の違いにクラウド上で迷子になりがちです。

その結果、使いこなせば便利なツールであることは理解しつつ、立ち上げに時間がかかりすぎて、結局従来のやり方でパパっと済ませてしまう。

これはきっと会計の分野に限ったことではなく、他のどの分野にも往々にしてありえる現象ではないかと思われます。

従来の慣れたやり方でやった方が早いのは、最初のうちは当然です。ただ、他の分野と会計の分野で決定的に違うことがあります。

それは、他分野だと『納期』に該当するような、『個人の確定申告』、『法人の決算申告』は一瞬でも日付が変わると期限後申告になってしまうことです(やむを得ない事情がある場合を除く)。

先輩!あと1時間待って下さい!とか、取引先に明日には必ずまとめて納品しますから!で許してもらえない世界…。


また確定申告は一斉に3月15日が期限で法人は3月決算が多いなど、絶対に期限を守らなければならない年に一度の最大イベントは一気にやってきます。

そして何とか申告を終え、繰り越した頃には新しい期の処理がたまっており、繁忙期が明けてからも新しいやり方やシステムに時間をかけるのが難しいのが現状。

しかし、それではいつまで経っても業務効率は改善せず、使いこなせる人たちに遅れをとってしまいます。

そこで、クラウド型会計ソフトの中でもfreee会計を使ってみて、弊社が従来から使っているデスクトップ型の弥生会計と違う事は何かを比較考察し、業務効率の改善や月次決算の時間短縮などの糸口を探っていくことにします

こんな経験、ありませんでしたか…?

さあ、売上を計上するぞ!えーっと、取引…かな?仕訳日記帳は…うーん、総勘定元帳は…うーん。あ、総勘定元帳があった…って開いてみたけど入力するところどこ?振替伝票は?えええい取説ちょうだい!え?取説ないの?紙の。ウェブのヘルプページ…?

キーワード?カテゴリー?何どれ?何で検索したらいいかわからない。カテゴリーって何?

もうちょっと誰かfreeeに電話して!え?電話番号ない?じゃあどうやって問い合わせするの!電話サポート?予約?今すぐ聞けないの?

チャットボット?なにこれ質問する…?

「〇〇のに関してのお問い合わせですね。ご質問内容を下記の項目よりお選びください。」

?????

さらにやっと入力できるところらしき項目にたどり着いたとしても、口座とは?口座って言ったら銀行口座でしょ!現金だなんだが口座ってわけがわからない…。
こうしてfreeeは閉じられ、闇に葬り去られてしまうわけです。

なので…

  • その1・最終的に現金が動くものは全て口座
    (小口現金、売上現金、預金、クレジットカードなど)
  • その2・売上を計上して経費を計上して、ではなくいつどのように現金が動いたかで考える

以上の視点より、明日からちょっぴりfreeeが使える気分になっていこうと思います。

口座の登録

  • 先に前期以前や当期途中のデータをfreeeに取り込まない
  • その1の『口座』に当たるものは勘定科目を作らない

freeeはその2の通り、現金がいつ動いたかを軸に考えます。

『現金』はデフォルトであるので、それ以外に『売上現金』や『小口現金』など実際の現金に対して細かく勘定科目を分けているものはトップのタブの『口座』から『口座の一覧・登録』を選びます。

他、利用している銀行口座、クレジットカードなども『口座』として登録します。

『口座』としているけれども、付ける名前が勘定科目になるので、従来使っている会計ソフトの勘定科目と全く同じ名前を付けて下さい。

これをまず最初に行ってから、前期以前や当期途中のデータを取り込みます。
取込の際、弥生会計の補助科目に当たる部分がfreeeでは『取引先』もしくは『品目』になります。

最初からこの二つを使い分けるのは難しいのでfreeeが自動的に『取引先』・『品目』として認識したものをそのまま登録するか、『取引先』・『品目』どちらかに統一して登録するといいかもしれません。

弊社ではfreeeが認識したものをそのまま採用し、後からどういうものがそれぞれに当たるのかを考えるようにしています。最初から理解しようとすると時間がかかってしまうので、とりあえず取り込んでしまいます。


データの取り込みはトップタブ『確定申告』(個人事業)・『決算申告』(法人)の中に振替伝票があるのでそれを開きます。おおよそ右上の端に『↓↑その他の機能』にカーソルを合わせると『弥生会計仕訳インポート』が出てくるので、そこから取り込んでください。

ここまでするのがとっても面倒で大変煩わしいのですが、最初にこれをしておくと後で困りません。

弥生会計とfreeeの違いを考えた時にきっと、あぁなるほどってなるはずです。

次回は、売上入力について見ていきます。