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令和6年度の税制改正「賃上げ促進税制」

令和6年度の税制改正「賃上げ促進税制」

はじめに

賃上げ促進税制には、大企業向けと中堅企業向け、中小企業向け(個人事業主含む)があります。
今回は、中小企業向けの賃上げ促進税制について書きたいと思います。

中小企業向けの賃上げ促進税制とは、青色申告を提出している「中小企業者等」が国内の雇用者に給与等を支給する際、前年度より給与等の支給額を1.5%以上増加させた場合に、原則として増加額の15%を法人税額又は所得税額から控除できる制度です。

適用条件

当期の雇用者給与等の支給額≧前期の雇用者給与等の支給額×101.5%

しかし、設立初年度や開業初年度は前期がありませんので、適用は出来ない事になります。また、前年の給与が0円の場合も適用は出来ません。

ここで対象となる雇用者とは、パート・アルバイト・日雇い労働者は含まれますが、使用人兼務役員を含む役員及びその特殊関係者、個人事業主の特殊関係者は含まれません。

また、給与等支給額(対象となる給与等)とは、国内の雇用者に対して支給する給与・賃金・賞与等の事で、退職金等は含まれないことになります。

適用される期間

令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度

なお、個人事業主は、令和7年から令和9年までの各年が対象期間となります。

以上の要件を満たした場合の税額控除は、原則15%となりますが、更に雇用者給与等支給額が前年度から2.5%以上であれば、15%上乗せとなります。

また今回の税制改正で変更になった適用要件で、適用年度の教育訓練費の額が適用年度の全雇用者に対する給与等支給額の5%以上増加していれば、更に10%と上乗せといったような上乗せ要件及び新設された「子育て支援を行っている企業・女性活躍を推進する企業」として厚生労働省管轄の認定を取得した場合に更に5%上乗せすることも可能になりました。

ただし、税額控除の上限が設けられており、当期の法人税額又は所得税額の20%が限度となりますが、今回の税制改正で控除の適用年度に法人税額が無く控除出来なかった場合や法人税額の20%超の税額控除があり、適用年度に控除しきれなかった金額については、5年間の繰越控除が新設されました。


このような「賃上げ促進税制」は、税制改正で適用が簡単な要件になり、税額控除額が増加しております。適用に当たっては、まだ他に満たさなければいけないような要件や除外規定がございますので、お問い合わせ頂ければと思います。