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経理のペーパレス化について~その2~

経理のペーパレス化について~その2~

さて、前回はペーパレス化のメリットについてみていきましたが、当然デメリットも存在します。どのようなものがあるかみていきましょう。

ペーパレス化のデメリット

〇資料全体が見にくい
〇直接メモが書けない
〇導入に時間やコストがかかる
〇システム障害などが発生する
〇全ての社員がITに精通しているわけではない

紙の方が見やすい

複数の資料を同時に表示した場合ディスプレイの大きさ以上に表示できない、表示された文字が小さく拡大表示をして全体像が分からないという問題が生じます。
デジタルデータで閲覧しやすい資料作りを最初からするという工夫が必要になります。

メモを取りづらい

紙であればペンですぐに書き込んだり付箋を付けたりできますが電子データの場合は別にメモをとるためのツールを使わなければなりません。会議資料であれば結局各々がデータを印刷してしまいペーパレス出来ない事態が生じる事にもなります。
しかし、タッチペンやマーカーなどの使用や、つけたメモを検索できるようなツールを使う事により紙よりも利便性が高くなります。

導入コストや環境整備などが発生

ペーパレスの為には使用システムや電子機器の導入、ネットワーク環境の整備へのコストが発生します。また社員がそれらに慣れる事や新たなワークフローの見直しに時間がかかる事もあります。
しかし電子帳簿保存法などの法改正により紙媒体での保存が認められないものもあります。将来的な事を見据えて少しでも早い対策が必要です。

システム障害や機器の故障

機器の故障により物理的にデータにアクセスが出来なくなる、システム障害でデータが閲覧できないもしくは消えてしまう事で業務に支障が発生します。
あらかじめ予備機器の購入、データのバックアップをとるなどの対策をしなければいけません。

ITリテラシー教育を

クラウドシステムやデータ保存箇所にIDやパスワードを設定していてもログインしたまま放置などが常態化したり、分かりやすいパスワードを設定しているなどITのセキュリティ知識が不足していると逆に情報漏洩のリスクが高まります。講習などを全員が受け最低限必要な知識を得る機会が必要です。

ペーパレスが進まない原因

〇ペーパレス化が目的になっている
〇デメリットへの意識が先行しすぎている
〇全てを一気にペーパレス化しようとして失敗する

目的はペーパレス化の先にある

ペーパレス化する事を目的としてしまうと、デメリットが出やすくなります。例えばデータで作成したものをデータのまま保管せず、何故かそれを写真に撮って保管した場合やそういったデータを受領した場合など。ペーパレスにはなっているがデータの汎用性がなくなり結局印刷した方がスムーズだから印刷してしまうという事が起こってしまいます。

何でもデータ保存していればいい、データで受領すればいいのではなくどういったデータであるのかが必要です。

データ元がcsvやExcelなどで作成されている場合、その形式のまま保管する、受領するを徹底すればデータをそのまま読み込むだけでいいような業務が出てきます。打ち込む必要がなくなるのでその分時間短縮になり入力ミスも自動的に無くなります。より信頼度の高い資料を短時間で作成する事が可能になります。

そういった、「信頼度の高い資料を短時間で作成するため」にペーパレスを進めようという目的であれば成功しやすくなりますが、目的をペーパレス化としてしまうとその先の方向性を見失う事になります。

必ずしも新しいシステムの導入が必要ではない場合も

デメリットの中に費用や時間がかかってしまう事があります。しかし実際は新たなシステムを導入しなくても既存のシステムでやりたい事が可能だったという場合もあります。

時間や費用がかかるから先延ばしにしてしまうのではなく、まずは既存のシステムで可能な事は無いかシステム作成会社に問い合わせてみることなどもいいのではないでしょうか。もし新たな使用方法が判明すれば低コストで進められる可能性もあります。

順を追ったペーパレス化

様々な業務フローによりペーパレス化がかえって業務不効率になる事もあります。社内にどういった紙の書類が存在するかの分類分け、次にデータ保存で問題があるものとないものに仕分けをし問題がないものから始めたいです。

次に問題があるものについてどういった問題が生じるのか、それを解決する方法は無いかなどを検討し、やはり紙である方が効率的であるものは従来のやり方を残す選択もいいのではないでしょうか。